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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)61号 判決 1948年11月05日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人三野義茂の上告趣意第一點について。

論旨四の主張も亦採用することができない。蓋し假りに被告人の警察官に對する供述が強制によるものであり、且つ公判廷における自白の内容がそれと全然同じであったとしても、後者は何等強制を加えられないで任意に爲されたものであるから、これを間接の強制とは斷言できない。況して本件の場合、原判決が證據として採用した原審公判廷における被告人の供述については、被告人が、「第一審公判廷迄の自白中事実に反する部分は原審で真実の供述に變更した」ことを、辯護人自ら認めている位であるから、その自白が所謂間接の強制によるものでないことは、一層明かであろう。(その他の判決理由は省略する。)

以上の通り辯護人三野義茂の上告趣意は総て理由がない。

なお辯護人上原隼三提出の上告趣意書は期間經過後のものであるから、これに對しては判斷を示さない。

よって裁判所法第十條但書第一號及び刑事訴訟法第四百四十六條により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 庄野理一 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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